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ノート
Note
Vol.1 熊谷和徳からのメッセージ
2022.08.03 UP

『いま』しかないその瞬間のために
15歳でタップを始める以前から何かしら『表現したい』という欲求が強くあったように思います。
その方法がわからず、悶々としていた時期からふとしたきっかけで、タップダンスに出会い、本当に少しずつ自分を表現する『声』のようなものを掴んだり、また手放して追いかけたり、ということをずっとやり続けてきているように思います。
この『表現者たち』という公演はもともとは、自分のアトリエでお客さんたちに囲まれて、ぎゅーぎゅーになりながら、創作段階もふくめて表現に至る過程を全部見てもらいたいという想いでスタートしました。
最終的に、完成された舞台というのは無駄も削られて、最もきれいな形として表に出ていくわけですが、逆にもともとあった熱量や、初期衝動のエネルギーの熱量のようなものは、残念ながら削られてしまうことも多々あるように思います。
タップを始めた頃には、誰に見せることも、褒められることも期待せず、ただただ自分の感情とともに、所構わず踊って、汗かいてた、自分の心にだけ響いていた感動だけに従っていた、あの頃の衝動は今も変わらずにあり、そのエネルギーを常に大事にしていきたいと思っています。
そして2015年に小さくはじめたこのイベントでは、一人の共演者を招いて一緒に表現を創り上げていくのですが、その方々もまた自分の『表現』ということを大事にしているアーティストたちが参加してくれました。
そういう表現者たちとの出会いは、僕の創造性を刺激してくれて、自分の人生を豊かにしてくれます。
自分にとっては何より、自分の心に正直に表現していることこそが『いきている』という実感だからです。自分のなかの”たましい”にはいりこみ、その瞬間の創造に全てのエネルギーをかけていく、その時に、『今』という瞬間しかなくなり、過去の失敗も未来への不安も、何もかもがなくなっていくのです。
今回、長年の親友であり、心から尊敬するアーティストのハナレグミ、永積 崇と、お互いの表現の源流や、いま溢れる想いをたどりながら、何か新しい自分たちの表現にたどり着くために、今も言葉やイメージを伝え合いながら試行錯誤しています。
いまこのように混沌とした時代だからこそ、すべてはその瞬間のために、表現のエネルギーを信じて前へと進んでいきたいです。
会場で皆さんと何かしら心のうちにある表現で共鳴できますように。
熊谷 和徳
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