ノート

Note

Vol.7 熊谷和徳×ハナレグミ 

2022.09.16 UP

さまざまな“表現”を模索しながらスペシャルな舞台を作り上げようとしている、

タップダンサー熊谷和徳とシンガーソングライターハナレグミ。

対談の最終回。

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~こういう機会なので、お互いにお聞きしたいことはありますか?

ハナレグミ:普段もかなり話しているからね。

熊谷:慎重な男だからなあ(笑)。

 

 

ハナレグミ:なんだろう、聞きたいこと。

そういえばひとつ。いいプレイって心が苛まれていたほうがいいの?それとも、心が落ち着いていたほうがいい?

 

ブルースマンだと、すごく苛まれているヒストリーが多いから、日々悲しみの中で生きているのかなって。でも、そこが救われていないと表現するときに気持ちさえもなくなっちゃうんじゃないかなって。

悲しみや苦しみがないと表現が生まれない…、ついついそういう刷り込みがある。でも、最近僕はそれってそうあってほしいって思っているところからできた“伝説”みたいなものじゃないかなって。その先に喜びとか快感がないと実際は達成できないんじゃないかって思う。

みんな悲しいことを悲しいままにしていたら、悲しいことだけしか伝わってこなくて、それは広まっていかないような気がする。最近、そう思うんだけど、どう?

熊谷:難しいね。

でも、自然な感情でいいんじゃないかな。悲しみは普遍的なもので、そこに深みが生まれるのかなと思う。

「悲しみ」って一色じゃなくて、いろんな色合いがあるような気がするから、それをどう表そうかというところと、どう伝えようかというところに表現の深みがある。ただただ、悲しいだけじゃない。

例えば、サッチモ(=ルイ・アームストロング)は刑務所でトランペットを習ったという話を聞いたんだけど、

彼の演奏は表面的にはユーモアに溢れてるけど、きっと悲しみの中から生まれてきた表現なのかな。

 

自分が見てきた黒人のタップダンサーも底抜けに明るい人たちが多いけど、でも、実際は差別や相当な苦難の経験を乗り越えていて、そういう人たちのユーモアやおおらかさからは、人間の強さを感じるんだよね。

彼らにとってアートで表現することは、ネガティブな感情をポジティブに表現する為に必要だったんだと思う。

 

ピクサーの映画に『インサイド・ヘッド』ていうアニメがあるんだけど、11歳の女の子の頭の中が舞台。悲しみや喜びなど5つの感情を擬人化していて心と体をコントロールしている。その中でも悲しみは人気がなくて、喜びは大活躍して女の子をサポートするんだよね。でも、最後には悲しみにしかその子を救えない重要な役割があるんだよね。

 

悲しかった時の景色からしか見えない愛情とか。悲しみにふたをせず、受けとめた時に何か光が見えるのかなと。

あえて悲しみを求める必要はないとは思うけどね。

ハナレグミ:悲しみの向こう側か。

熊谷:絶対的な真実として、誰もが「死」という悲しみを背負っているよね。身近な人が亡くなったり、このコロナ禍でも大切な人を無くした人も多いと思うんだけど、だからこそ、その先の生命の喜びもたくさん共感したいと思うよ。

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~永積さんは歌を歌っているときに意味を込めようとしているのか、それとも無心で言葉を発しているのか、どういう状態で歌っているのですか?

ハナレグミ:両方ありますね。僕は無心なときはフィジカル。メロディーの色味、その音色に声を合わせる。歌詞は“空間”をイメージしています。どういう部屋かどういう人がまわりにいるのか。手触りとしてはこういう体温の人がいそうだな…とか。あらかじめ決めているわけではないです。

会話って目の前の人にめがけて話すじゃないですか。それと同じでその人に歌っているような感覚になるかな。

 

 

熊谷:単純な質問だけど、歌詞は忘れないよね。でも、感情が行き過ぎるとある程度は忘れたりしないの?

 

 

ハナレグミ:歌詞は入っているね。新しい曲は忘れることもあるかな。

 

 

熊谷:タップは自然に体に染みついている。自分にとって言語はちょっと使う脳が違うから、舞台上でMCに切り替えるのは難しいんだけど、シンガーソングライターの人たちは演奏と言葉でメッセージを伝えていくから本当にすごいと思う。たったひとりで完結できるアート。自分自身もタップでそんなことができたらいいなと思うよ。

ハナレグミ:自分ではどうなっているのかわからないなあ。

 

 

熊谷:ボブ・マーリー弾き語りとかすごく好き。すべての感覚を使っている。

 

 

ハナレグミ:う~ん、よくわからないなあ。普通に「おはよう」って近くの人に言うのとあちらの人にいうのとでは違うよね。普段は言い分けている、それを“空間”と取られている。歌うとき、僕はどの距離の人に歌っているかものすごく考える。

 

弾き語りのときは、その“空間”を作らないとその時間が埋められていないって思う。

そういう“空間”でどういう距離の人に歌っているのかが、本能的に出てくる。ここに聞き手を呼び込む感じかな。

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今まさにふたりは、お互いの考えを共有しあいながら、新たな舞台を模索している。

そのひとつとして、熊谷和徳の詩にハナレグミが曲をつけた作品を発表するという。ふたりにとって初めての試みだ。

その日その場でしか生まれない“表現”を、9月22日の舞台で体感したい。

おわり

​文:吉田葉子

撮影:HAYATO IKI

【表現者たち New Beatnik 開催概要】

●公演日程:2022年9月22日(木)17時開演

●会場:恵比寿ガーデンホール https://gardenplace.jp/culture/hall.php

●チケット料金:8,900円(全席指定・税込)

●一般発売:2022年7月23日(土)10時

●チケット取り扱い:

・キョードー東京 https://tickets.kyodotokyo.com/kumagai2022 

・イープラス https://eplus.jp/kumagai2022/

・チケットぴあ【Pコード:514-172】 https://w.pia.jp/t/kumagai2022/ 

・ローソンチケット【Lコード:32779】https://l-tike.com/kumagai2022/

 

【お問い合わせ】

キョードー東京:0570-550-799 (平日:11時〜18時 土日祝:10時〜18時)


【主催】

キョードー東京 イープラス